フィッシング詐欺を防ぐためにできる7つの対策
フィッシング詐欺を完全に防ぐことは難しいものの、日頃の設定や利用方法を見直すことで、被害のリスクを減らすことにつながります。
フィッシング対策協議会は2026年6月1日、「利用者向けフィッシング詐欺対策ガイドライン 2026年度版」を公開しました。
このガイドラインでは、セキュリティ機能の活用、情報を入力する前の確認、不安な場合の相談などが重要な行動として示されています。
1.メールやSMSのリンクから安易にログインしない
フィッシング詐欺を防ぐための基本は、メールやSMSに記載されたURLから安易にログインしないことです。
たとえ普段利用している銀行や通販サイトの名前が表示されていても、リンク先が正規サイトとは限りません。
必要な手続きがある場合は、公式アプリや普段利用しているブックマークからアクセスしましょう。
2.多要素認証やパスキーを利用する
多要素認証とは、パスワードに加えて、別の認証手段を組み合わせて本人確認を行う仕組みです。
例えば、認証アプリなどを利用して本人確認する方法があります。
また、対応するサービスでは、パスキーを利用することで、偽サイトによる認証情報の窃取への耐性を高めることができます。
ただし、認証コードを第三者に伝えてしまうなど、利用者の操作によって認証を突破される可能性もあるため、注意が必要です。
3.パスワードを使い回さない
複数のサービスで同じパスワードを利用していると、一つのサービスから情報が漏れた場合に、ほかのサービスでも不正ログインされる危険性があります。
パスワードはサービスごとに異なるものを設定し、長く推測されにくい文字列を使用しましょう。
パスワード管理ツールを活用する方法もあります。
4.迷惑メール・SMSの対策機能を使う
メールサービスやスマートフォンには、迷惑メールや不審なSMSを検出・振り分ける機能が用意されている場合があります。
また、通信事業者によっては、迷惑SMSを減らすためのフィルタリング機能などを提供しています。
利用しているサービスの設定を確認し、必要に応じて活用しましょう。
ただし、フィルタリング機能を利用しても、すべてのフィッシングメールを防げるわけではありません。
5.ブラウザーの安全機能を有効にする
Webブラウザーには、危険なサイトへのアクセスを警告する機能が備わっている場合があります。
例えば、GoogleのセーフブラウジングやMicrosoft Defender SmartScreenなどが挙げられます。
これらの機能は、フィッシングサイトなどへのアクセスを防ぐための手段の一つです。
ただし、警告が表示されなかったからといって、アクセス先が必ず安全とは限りません。
6.OSやアプリを最新の状態に保つ
スマートフォンやパソコンのOS、ブラウザー、アプリには、セキュリティ上の問題を修正する更新プログラムが提供されることがあります。
更新を適切に適用し、サポート対象のソフトウェアを利用しましょう。
また、アプリをインストールする際は、提供元や必要な権限などを確認することも重要です。
7.金融サービスの利用履歴を確認する
銀行口座やクレジットカードを利用している場合は、定期的に取引履歴や利用明細を確認しましょう。
身に覚えのない送金や決済がないか確認することで、不正利用に気づく手がかりになります。
サービスによっては、取引時の通知機能などが提供されている場合もあります。
企業が取り組むべきフィッシング詐欺対策
フィッシング詐欺は、個人だけでなく企業にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、従業員が偽サイトに業務用アカウントの情報を入力してしまうと、社内システムやクラウドサービスへの不正アクセスにつながる可能性があります。
企業では、次のような対策が重要です。
- 業務用アカウントへの多要素認証の導入
- 従業員ごとのアクセス権限の管理
- 不審なメールを検出する仕組みの整備
- 従業員へのフィッシング対策教育
- メールの送信ドメイン認証の適切な導入・運用
- 不審なメールを受信した場合の報告体制の整備
- 被害発生時の対応手順の確認
また、企業の名前を悪用したフィッシングが確認された場合は、利用者への注意喚起や関係機関への情報提供などを検討することも重要です。
フィッシング詐欺についてよくある疑問
Q.フィッシングメールを開いただけで被害に遭う?
一般に、メールを表示しただけで必ず情報が盗まれるわけではありません。
ただし、不審なリンクへのアクセスや添付ファイルの実行などによって、被害につながる可能性があります。
不審なメールに含まれるリンクや添付ファイルは、安易に開かないようにしましょう。
Q.フィッシングサイトを開いただけで危険?
偽サイトを開いただけで、必ず個人情報が盗まれるとは限りません。
IPAは、情報の入力やアプリのインストールなどを行っていなければ、基本的に被害は発生しないと説明しています。
ただし、不審なファイルのダウンロードや、端末の脆弱性を悪用した攻撃などの可能性には注意が必要です。
Q.偽サイトでパスワードを入力したら、変更するだけで大丈夫?
パスワードの変更は重要ですが、それだけで十分とは限りません。
すでに第三者にログインされている可能性もあるため、ログイン履歴や登録情報、ほかの端末でのログイン状態などを確認しましょう。
必要に応じてサービス提供元へ相談し、不審なセッションの終了などを行ってください。
Q.フィッシングメールと普通の迷惑メールは違う?
迷惑メールは、利用者の意思に反して送られてくる広告などを含む、幅広い意味のメールです。
一方、フィッシングメールは、正規の企業などを装い、認証情報や個人情報などを盗み取ることを目的としたものです。
迷惑メールの中にもフィッシングメールが含まれる場合があります。
Q.SMSの送信元が企業名なら本物?
送信元に企業名が表示されていても、それだけで正規のSMSと判断することはできません。
SMSでは送信元の表示などが悪用される場合があります。
記載されたURLを安易に開かず、公式アプリや正規サイトから内容を確認しましょう。
Q.フィッシングサイトを見分けるアプリはある?
不審なWebサイトへのアクセスを検知・警告する機能は、ブラウザーやセキュリティソフトなどに用意されています。
ただし、どの製品や機能でも、すべてのフィッシングサイトを検出できるわけではありません。
セキュリティ機能を利用しながら、正規のサイトやアプリからアクセスする習慣を身につけることが大切です。
Q.フィッシング詐欺による被害は補償される?
銀行口座からの不正送金やクレジットカードの不正利用などについては、金融機関やカード会社が補償制度を設けている場合があります。
ただし、すべての被害が必ず補償されるわけではありません。
補償の対象や条件は、各社の規約や具体的な被害状況などによって異なります。
被害に気づいた場合は、速やかに関係する金融機関やカード会社へ相談しましょう。
フィッシング詐欺から自分の情報を守るために
フィッシング詐欺は、実在する企業や金融機関などを装い、偽メールやSMSから不正なWebサイトに誘導して、ログイン情報やクレジットカード情報などを盗み取る手口です。
偽サイトは本物に似せて作られている場合があり、URLやメールの見た目だけで確実に見分けることは難しくなっています。
被害を防ぐためには、次のポイントを意識することが重要です。
- メールやSMSのリンクから安易にログインしない
- 公式アプリや正規のブックマークからアクセスする
- パスワードを複数のサービスで使い回さない
- 多要素認証やパスキーを利用する
- 迷惑メール・SMSの対策機能を活用する
- OSやアプリを適切に更新する
- 利用履歴や不審なログイン通知を確認する
また、偽サイトに情報を入力してしまった場合は、入力した内容に応じてパスワード変更やカード会社への連絡などを行うことが必要です。
不審なメールが届いたというだけで、必ず被害が発生しているわけではありません。
大切なのは、「メールを受け取っただけなのか」「URLを開いたのか」「情報を入力したのか」を確認し、それぞれの状況に応じて適切に対応することです。
普段から正規のアプリやブックマークを利用し、突然届いた連絡で重要な情報を入力しない習慣を身につけましょう。
<参考サイト>
フィッシング対策協議会 / 警察庁 / 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
