「銀行から不審なメールが届いた」「SMSに記載されたURLを開いてしまった」「偽サイトにパスワードを入力したかもしれない」。このような経験に、不安を感じたことはないでしょうか。

フィッシング詐欺は、実在する企業や金融機関などを装い、偽のメールやSMSから不正なWebサイトへ誘導して、個人情報を盗み取る手口です。

最近では、本物のWebサイトと見分けにくい偽サイトや、自然な日本語で書かれたフィッシングメールも確認されており、見た目だけで判断することが難しくなっています。

ただし、不審なメールを受信したり、URLを開いたりしただけで、必ず被害が発生するわけではありません。重要なのは、どのような操作をしたのかを確認し、状況に応じて適切に対応することです。

この記事では、フィッシング詐欺の仕組みや最新の手口、偽メール・偽サイトの見分け方、個人情報を入力してしまった場合の対処法、被害を防ぐための対策まで、わかりやすく解説します。

パソコンとセキュリティをイメージしたフィッシング詐欺対策の写真

この記事でわかること

  • フィッシング詐欺とは何か、主な手口と被害
  • 2026年のフィッシング詐欺の発生状況
  • フィッシングメール・偽メールの見分け方
  • フィッシングサイトを見分けるポイント
  • SMSを利用したフィッシング詐欺の特徴
  • 偽サイトに情報を入力してしまった場合の対処法
  • クレジットカードや銀行口座への被害を防ぐ方法
  • 日頃からできるフィッシング詐欺対策

フィッシング詐欺とは?まず知っておきたい基本

フィッシング詐欺とは、実在する企業や金融機関、官公庁などを装い、利用者からIDやパスワード、クレジットカード番号などの情報を盗み取る手口です。

代表的なのは、正規のサービスから届いたように見せかけたメールやSMSを送り、偽のWebサイトに誘導する方法です。

偽サイトに入力した情報が第三者に渡ると、アカウントの乗っ取りや不正な決済、銀行口座からの不正送金などにつながる可能性があります。

フィッシングメールとは?

フィッシングメールとは、利用者をだまして偽サイトなどへ誘導し、重要な情報を盗み取ることなどを目的としたメールです。

例えば、次のような内容が使われます。

  • 「アカウントの利用が制限されています」
  • 「不正なログインが検出されました」
  • 「お支払い情報の更新が必要です」
  • 「荷物をお届けできませんでした」
  • 「ポイントの有効期限が近づいています」
  • 「本人確認が完了していません」

これらはフィッシングで使われることがある文面の例です。同じような内容の正規の通知も存在するため、文面だけで偽物と断定することはできません。

大切なのは、メールに記載されたURLから安易にログインせず、公式アプリや正規のWebサイトで内容を確認することです。

フィッシングサイトとは?

フィッシングサイトとは、利用者から個人情報や認証情報などを盗む目的で作られた偽のWebサイトです。

金融機関や通販サイト、クレジットカード会社などの正規サイトに似せた画面を表示することがあります。

利用者が本物のログイン画面だと思ってIDやパスワードを入力すると、その情報が第三者に取得される可能性があります。

2026年のフィッシング詐欺はどのくらい発生している?

フィッシング対策協議会は2026年10月19日、「2026/09 フィッシング報告状況」を公開しました。

この報告によると、2026年9月に同協議会へ寄せられたフィッシング報告件数は94,661件でした。

また、報告されたフィッシングサイトのURL件数は、重複を除いて49,032件となっています。

これらは同協議会が受け付けた報告件数などであり、実際の被害者数や金銭的被害の件数を示すものではありません。

どのようなサービスが悪用されている?

2026年9月の報告では、通販サイトやクレジットカード関連サービスなどを装ったフィッシングが多く確認されています。

また、官公庁や航空会社、オンラインサービスなどの名称を悪用した事例も報告されています。

フィッシングに悪用されたブランドは105ブランドに上りました。

ただし、実在する企業やサービスの名前がフィッシングに使われていても、その企業自体が情報漏洩を起こしたり、詐欺に関与したりしていることを意味するわけではありません。

フィッシング詐欺の主な手口とは?

フィッシング詐欺では、利用者の不安や焦りを利用して、冷静に確認する前に操作させようとする場合があります。

1.不正ログインの警告を装う

「第三者によるアクセスが確認されました」「安全のためアカウントを停止しました」などと通知し、偽サイトでのログインを促す手口です。

不正ログインを心配している利用者が、急いでIDやパスワードを入力してしまう可能性があります。

2.支払い情報の更新を求める

「カード決済が失敗しました」「登録情報を更新してください」などと案内し、クレジットカード番号やセキュリティコードを入力させる手口です。

正規の通販サイトや会員サービスを装う場合があります。

3.宅配業者の不在通知を装う

荷物の配達に関するSMSを送り、再配達の確認などを理由に偽サイトへ誘導する手口です。

警察庁は、宅配業者を装ったSMSから不正なアプリをインストールさせる事例についても注意を呼びかけています。

4.ポイントや特典の期限を強調する

「ポイントが失効します」「会員特典を受け取るには確認が必要です」などと通知し、偽サイトへ誘導する方法です。

特典を受け取るための手続きに見せかけて、ログイン情報やカード情報などを入力させる場合があります。

5.SMSから偽サイトへ誘導する

SMSを利用したフィッシングは「スミッシング」とも呼ばれます。

電話番号宛てに届く短いメッセージを利用し、銀行や通信事業者、宅配業者などを装って偽サイトへ誘導する手口です。

SMSの送信元表示だけで、正規の企業から届いたものと断定することはできません。

フィッシングメール・偽メールの見分け方は?

フィッシングメールには、いくつかの特徴があります。

ただし、一つの特徴だけで本物か偽物かを確実に判断することは困難です。

1.差出人の表示名だけで判断しない

メールの差出人名に実在する銀行や通販サイトの名前が表示されていても、その企業が実際に送信したとは限りません。

フィッシングメールでは、差出人名やメールアドレスの表示を偽装する手口があります。

そのため、差出人名が正しいという理由だけで信用しないことが重要です。

2.急いで操作させる文面に注意する

「今すぐ確認してください」「アカウントが停止されます」など、早急な対応を求める文面には注意が必要です。

ただし、正規のサービスでも重要な手続きを案内する場合があります。

慌ててメール内のリンクを開くのではなく、公式サイトなどから事実関係を確認しましょう。

3.リンク先のURLを確認する

メールに表示されているリンクの文字と、実際に移動するWebサイトのURLが異なる場合があります。

また、正規の企業名に似た文字列を含むドメイン名が悪用されることもあります。

URLを確認する際は、企業名が含まれているかどうかだけでなく、実際のドメイン名が正しいかを確認する必要があります。

ただし、URLの見た目だけで偽サイトを完全に見分けられるわけではありません。

4.日本語が自然でも安心しない

以前は、不自然な日本語がフィッシングメールを疑う手がかりになることもありました。

しかし、文章が自然だからといって、正規のメールであるとは限りません。

フィッシング対策協議会の2026年9月の報告でも、さまざまな文面や表示方法を使ったフィッシングメールが確認されています。

フィッシングサイトの見分け方|URLや鍵マークだけで判断できる?

偽サイトは、正規サイトのロゴやデザインを模倣している場合があります。

そのため、画面の見た目だけで安全性を判断することは難しいとされています。

HTTPSや鍵マークがあれば安全?

WebサイトのURLが「https://」で始まる場合、一般的にはブラウザーとWebサイト間の通信が暗号化されています。

しかし、HTTPSに対応していることは、そのWebサイトの運営者が正規の企業であることを保証するものではありません。

フィッシングサイトでもHTTPSを使用する場合があるため、鍵マークやHTTPSの表示だけで安全と判断しないようにしましょう。

正規サイトと偽サイトを見分けるポイント

確認項目注意したいポイント
URL正規のドメイン名と一致するか
送信元表示名だけでなく、送信元の情報を確認する
ログイン画面通常と異なる認証情報を求められていないか
案内内容公式アプリや正規サイトでも同じ案内が確認できるか
操作の要求不自然に急がせたり、必要性が不明な情報を求めたりしていないか

フィッシング対策協議会は、2026年度版の利用者向けガイドラインで、正規のアプリやブックマークからサービスへアクセスすることを推奨しています。

特に銀行や通販サイト、クレジットカード会社などの重要なサービスでは、メールに記載されたリンクを経由せず、普段利用している正規のアプリやブックマークから確認するとよいでしょう。

では、すでにフィッシングメールのURLを開いてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。実は、リンクを開いただけなのか、情報を入力したのかによって必要な対応は異なります。次のページで詳しく解説します。