個人情報漏洩の被害を防ぐためにできる6つの対策

企業が管理している情報の漏洩を、利用者自身の対策だけで完全に防ぐことはできません。

しかし、日頃の情報管理やセキュリティ対策によって、不正ログインなどの二次被害を防ぐことにつながります。

1.パスワードの使い回しをやめる

同じパスワードを複数のサービスで使用していると、一つのサービスから情報が漏れた場合に、別のサービスでも不正ログインされる危険性があります。

パスワードはサービスごとに異なるものを設定し、長く推測されにくい文字列を使用しましょう。

複数のパスワードを管理することが難しい場合は、パスワード管理ツールの活用も選択肢になります。

2.多要素認証やパスキーを利用する

多要素認証は、パスワードなどに加えて、スマートフォンなどの別の認証手段を組み合わせて本人確認を行う仕組みです。

また、パスキーは、パスワードに依存しない認証方式です。

対応するサービスでは、これらの機能を利用することで、アカウントの安全性を高めることにつながります。

3.不審なメールやSMSに注意する

金融機関や通販サイト、配送業者などを装った偽メールには注意が必要です。

メールの送信者名やロゴが正しく見えても、それだけで本物の連絡とは限りません。

突然届いた通知から個人情報を入力するのではなく、正規のサイトや公式アプリで確認しましょう。

4.不要な個人情報の登録を控える

インターネットサービスを利用する際は、必要以上に個人情報を登録しないことも大切です。

利用しなくなったサービスについては、アカウントの削除を検討することもできます。

ただし、退会したからといって、登録されていた情報が直ちにすべて削除されるとは限りません。

情報の取り扱いについては、各サービスの利用規約やプライバシーポリシーを確認しましょう。

5.スマートフォンやパソコンを更新する

OSやアプリの更新には、セキュリティ上の問題を修正するものもあります。

古いバージョンのまま使い続けると、既知の脆弱性が悪用される可能性があります。

自動更新の設定などを活用し、利用している端末を適切な状態に保ちましょう。

6.利用履歴や通知を定期的に確認する

ネットショッピングや金融サービス、SNSなどでは、利用履歴やログイン履歴を確認できる場合があります。

身に覚えのない購入やログインなどがないか、定期的に確認しましょう。

サービスによっては、不審なログインや決済に関する通知を設定できる場合もあります。

企業には個人情報漏洩の報告義務がある?

日本では、個人情報保護法に基づき、一定の条件に該当する個人データの漏えい等について、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が義務付けられています。

民間の個人情報取扱事業者について、主な報告対象となる事態には次のものがあります。

  • 要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等
  • 不正利用によって財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等
  • 不正の目的をもって行われたおそれがある行為による個人データの漏えい等
  • 1,000人を超える個人データの漏えい等

これらの条件に該当する場合、漏えい等が確定したときだけでなく、そのおそれがあるときも報告対象になることがあります。

企業はいつまでに報告する必要がある?

報告対象となる事態については、原則として発覚後速やかに速報を行う必要があります。

個人情報保護委員会では、速報について、おおむね3~5日以内を目安として案内しています。

その後、原則として30日以内に確報を提出する仕組みです。

不正の目的をもって行われたおそれがある行為による漏えい等など、所定の事態では確報の期限が60日以内となります。

ただし、高度な暗号化など、法令で定められた保護措置が講じられている場合には、報告や本人通知の対象とならないこともあります。

個人情報漏洩が発生したら、必ずニュースで公表される?

すべての個人情報漏洩について、企業が一般向けに公表することを一律に義務付けられているわけではありません。

法律に基づく報告義務や本人通知の義務と、一般向けの公表は区別する必要があります。

また、本人への通知が困難な場合には、公表や問い合わせ窓口の設置など、必要な代替措置が認められる場合があります。

したがって、ニュースや企業一覧に掲載されていないという理由だけで、情報漏洩が発生していないと判断することはできません。

企業が取り組むべき個人情報漏洩対策

企業では、顧客情報や従業員情報などを管理するため、組織的なセキュリティ対策が重要です。

主な対策には、次のようなものがあります。

  • 従業員ごとのアクセス権限の管理
  • 多要素認証などによるログインの保護
  • OSやシステムの脆弱性への対応
  • 重要な個人情報の暗号化や適切な保管
  • メールの誤送信を防ぐ仕組みの整備
  • 従業員への情報セキュリティ教育
  • 委託先や外部サービスの管理
  • 事故発生時の対応手順の整備

IPAは2026年10月9日、不正アクセスによる情報漏洩事案を踏まえ、企業や組織が速やかに実施すべき対策について注意喚起を公表しました。

外部公開システムの管理、認証機能の強化、アクセス権限の見直しなどが重要な取り組みとして挙げられています。

また、情報漏洩が疑われる場合には、被害の拡大防止や事実関係の調査、原因究明、再発防止などの対応が必要になります。

個人情報漏洩の被害が心配な場合の相談先

個人情報漏洩に関する通知を受け取った場合や、不正利用などの被害が疑われる場合は、状況に応じて適切な窓口へ相談しましょう。

利用している企業・サービスの問い合わせ窓口

自分の情報が漏洩の対象となっているかどうかについては、まずサービス提供元の公式発表や問い合わせ窓口を確認しましょう。

対象者の条件や漏洩した情報の種類など、具体的な内容を確認できる場合があります。

IPA 情報セキュリティ安心相談窓口

IPAでは、個人向けに情報セキュリティに関する相談窓口を設けています。

個人情報が漏洩した際の対応や、日頃のセキュリティ対策について相談することができます。

個人情報保護委員会

個人情報保護委員会では、個人情報保護法や個人情報の取り扱いに関する相談窓口を設けています。

企業による個人情報の取り扱いについて疑問がある場合などに、相談を検討できます。

消費生活センター・警察

個人情報の悪用によって、不正な契約や請求などのトラブルが発生した場合は、消費生活センターへの相談を検討できます。

消費者ホットライン「188」から、最寄りの消費生活相談窓口につながります。

また、詐欺や不正アクセスなどの犯罪被害が疑われる場合は、警察への相談も検討しましょう。

個人情報漏洩についてよくある疑問

Q.個人情報が漏れたら必ず悪用される?

必ずしも悪用されるとは限りません。

漏洩した情報の種類や、第三者が実際に情報を取得したかどうかなどによって、想定されるリスクは異なります。

企業の公表内容を確認し、状況に応じて必要な対応を取りましょう。

Q.自分の情報が漏洩しているか完全に確認できる?

企業の公式発表や個別通知、情報漏洩の確認サービスなどを利用することで、対象かどうかを確認できる場合があります。

ただし、すべての情報漏洩を網羅した確認手段があるわけではありません。

確認サイトで該当が見つからなくても、情報漏洩が一切発生していないことの証明にはならない点に注意しましょう。

Q.個人情報漏洩のニュースを見たら何をすべき?

まず、利用しているサービスが対象になっているかを確認しましょう。

そのうえで、どのような情報が漏れたのか、企業から必要な対応が案内されているかを確認することが重要です。

ニュースの見出しだけで判断せず、企業の公式発表や続報を確認しましょう。

Q.個人情報が漏洩したらパスワードを変更すべき?

IDやパスワードが漏洩した場合は、速やかに変更することが重要です。

同じパスワードを別のサービスでも使用している場合は、そちらも変更しましょう。

ただし、氏名や住所のみが漏洩した場合などは、必ずしもパスワード変更が必要とは限りません。

漏洩した情報の種類や不正ログインの有無などに応じて判断しましょう。

Q.企業が個人情報を漏洩した場合、必ず補償される?

個人情報が漏洩したという事実だけで、必ず金銭的な補償を受けられるとは限りません。

補償の有無や内容は、企業の対応方針や具体的な被害状況、法的な責任の有無などによって異なります。

実際に被害が発生した場合は、企業の問い合わせ窓口や消費生活相談窓口などに相談し、必要に応じて法律の専門家への相談も検討しましょう。

個人情報漏洩への備えは、正確な確認と早めの対応から

個人情報漏洩は、外部からの不正アクセスだけでなく、メールの誤送信やシステムの設定ミス、端末の紛失など、さまざまな原因によって発生します。

企業の情報漏洩がニュースになった場合でも、自分が対象となっているとは限りません。

大切なのは、企業の公式発表を確認し、漏洩した情報の種類に応じて適切に対応することです。

特に、次の項目を意識しましょう。

  • 企業の公式発表や通知を確認する
  • 漏洩した情報の種類を把握する
  • パスワードが漏れた場合は速やかに変更する
  • クレジットカード情報が漏れた場合はカード会社へ相談する
  • 不審なメールやSMS、電話に注意する
  • 多要素認証などのセキュリティ機能を活用する
  • 不安な場合は公的な相談窓口などを利用する

また、情報漏洩の公表内容は調査の進行によって変わる場合があるため、最新の発表を確認することも重要です。

「何の情報が漏れたのか」「自分は対象なのか」「今どのような対策が必要なのか」を順番に確認することが、個人情報漏洩に適切に対応するための第一歩です。

日頃からパスワードの使い回しを避け、不審な連絡に注意するなど、できることから情報セキュリティ対策を続けていきましょう。

<参考サイト>
個人情報保護委員会 / 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) / JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC) / 株式会社ローソン / 株式会社カプコン / 日本貿易振興機構(ジェトロ) / 日本サッカー協会(JFA) / Have I Been Pwned