安全なパスワードの作り方|長さと使い回しに注意
パスワードを安全に管理するためには、推測されにくい文字列を設定し、サービスごとに異なるものを使用することが重要です。
IPAは、パスワードをできるだけ長く、複雑で、使い回さないものにすることを推奨しています。
推測されやすいパスワードを避ける
次のようなパスワードは、第三者に推測される可能性があるため注意が必要です。
- 単純な数字の並び
- キーボードの配列に沿った文字列
- 氏名や誕生日などに関連する文字列
- 一般的によく使われる単語だけのパスワード
- ほかのサービスでも使用しているパスワード
また、短いパスワードよりも、十分な長さがある推測されにくいパスワードを使用することが重要です。
パスワードは何文字以上にすればいい?
安全なパスワードの条件は、サービスの認証方式や利用環境などによって異なります。
米国国立標準技術研究所(NIST)のデジタル認証に関するガイドラインでは、パスワードの長さを重視する考え方が示されています。
2025年に公表されたNIST SP 800-63B-4では、パスワードだけで認証する場合、サービス提供側が最低15文字を要求する基準などが示されています。
ただし、これはすべてのWebサービスで15文字以上が必須であることを意味するものではありません。
利用するサービスの条件を確認しながら、可能な範囲で十分に長く、推測されにくいパスワードを設定しましょう。
パスワード管理ツールを活用する
サービスごとに異なるパスワードを設定すると、すべてを覚えることが難しくなる場合があります。
そのような場合は、パスワード管理ツールの活用も選択肢になります。
Google パスワード マネージャーやAppleのパスワードアプリなどには、パスワードの保存や管理、安全性の確認に役立つ機能があります。
ただし、管理ツール自体を利用するアカウントや端末の安全性にも注意が必要です。
端末の画面ロックや多要素認証などを適切に設定しましょう。
パスワードを変えるべきタイミングは?
パスワードは、必ず一定期間ごとに変更しなければならないのでしょうか。
実際には、定期的な変更だけで安全性が高まるとは限りません。
変更が必要になる主なケース
次のような場合は、パスワードの変更を検討する必要があります。
- パスワードの漏洩が確認された場合
- フィッシングサイトに入力してしまった場合
- 第三者にパスワードを知られた可能性がある場合
- 不正ログインが確認された場合
- 同じパスワードを複数のサービスで使い回している場合
- 利用しているサービスから変更を求められた場合
これらに該当する場合は、状況に応じて速やかに変更しましょう。
定期的に変更するだけでは不十分?
NISTのガイドラインでは、サービス提供者が利用者に対して、理由なく定期的なパスワード変更を強制することは推奨されていません。
一方、パスワードが漏洩した証拠がある場合には、変更が必要とされています。
重要なのは、短期間で何度も変更することだけではなく、長く推測されにくいパスワードを使い回さずに利用することです。
ただし、勤務先などでパスワード変更に関するルールが定められている場合は、その規定にも従ってください。
パスワードを使わない認証方法もある?
最近では、パスワードに依存しないログイン方法として「パスキー」に対応するサービスもあります。
パスキーは、端末に保存された認証情報などを利用する仕組みで、対応するサービスでは顔認証や指紋認証、端末の画面ロック用PINなどを使ってログインできます。
パスキーは正規のサービスと結び付いた認証の仕組みを利用するため、偽サイトによる認証情報の窃取への耐性があります。
ただし、すべてのサービスで利用できるわけではありません。
また、端末の紛失などに備え、アカウントの復旧方法も確認しておくことが重要です。
パスワード漏洩に関するよくある疑問
Q.パスワード流出の確認は無料でできる?
Google パスワード マネージャーやAppleのパスワードアプリなどには、追加料金なしで利用できるパスワードの安全確認機能があります。
また、Have I Been PwnedやMozilla Monitorなどでも、既知の情報漏洩に関する確認サービスが提供されています。
ただし、利用条件や対象となる情報はサービスによって異なります。
Q.パスワード漏洩の警告が出たら、必ず乗っ取られている?
必ずしもアカウントが乗っ取られているとは限りません。
漏洩警告は、過去のデータ侵害などで認証情報が確認されたことを知らせるものです。
実際に不正ログインされたかどうかは、ログイン履歴やサービスからの通知などを合わせて確認する必要があります。
Q.パスワードを変更すれば、もう安心?
パスワードの変更は重要な対策ですが、それだけで十分とは限りません。
すでに第三者にログインされている場合や、認証設定が不正に変更されている場合などは、追加の対応が必要になることがあります。
ログイン履歴や登録情報、多要素認証の設定なども確認しましょう。
Q.メールアドレスが流出したら、必ずパスワードも漏れている?
メールアドレスが流出したという事実だけでは、パスワードまで漏洩したとは限りません。
企業の公式発表などで、どのような情報が漏洩したのか確認しましょう。
また、不審なメールやSMSなどが届く可能性もあるため、フィッシング詐欺には注意が必要です。
Q.漏洩確認サイトで何も出なければ安全?
漏洩確認サイトで問題が見つからなくても、すべての情報漏洩が存在しないことの証明にはなりません。
確認サービスが把握していない情報漏洩や、まだ公表されていない事案などがある可能性もあります。
確認結果だけに頼らず、パスワードの使い回しを避け、多要素認証なども利用しましょう。
Q.パスワードを使い回していたら、すべて変更するべき?
漏洩が確認されたパスワードをほかのサービスでも使用している場合は、それらのサービスでも変更することが重要です。
特にメールやSNS、通販サイト、金融サービスなどでは、不正ログインが金銭的な被害や個人情報の悪用につながる可能性があります。
サービスごとに異なるパスワードへ変更しましょう。
Q.パスワードが漏れたかもしれない場合、どこに相談する?
まずは、利用しているサービスの公式サポート窓口を確認しましょう。
アカウントにログインできなくなった場合などは、サービス提供元の正規の復旧手続きを利用してください。
また、IPAの情報セキュリティ安心相談窓口では、一般的な情報セキュリティに関する相談を受け付けています。
不正送金や不正決済が疑われる場合は、銀行やカード会社へ速やかに連絡しましょう。
パスワード漏洩に備えるために、まず確認したいこと
パスワードの流出は、GoogleやAppleのチェック機能、情報漏洩確認サービス、企業からの公式通知などによって確認できる場合があります。
ただし、確認サービスですべての情報漏洩を把握できるわけではありません。
そのため、パスワードが漏洩しているかどうかを確認することに加え、日頃から適切に管理することが重要です。
特に意識したいのは、次の項目です。
- GoogleやAppleなどの正規の機能で安全性を確認する
- 漏洩したパスワードは速やかに変更する
- 同じパスワードを複数のサービスで使い回さない
- 長く推測されにくいパスワードを設定する
- 多要素認証やパスキーを利用する
- 不審なログイン履歴や利用通知を確認する
- 偽メールやフィッシングサイトに注意する
また、メールアドレスだけが漏洩した場合と、パスワードも漏洩した場合では、必要な対応が異なります。
大切なのは、「何の情報が漏れたのか」「現在のパスワードに問題があるのか」「不正ログインが発生していないか」を順番に確認することです。
まずは普段利用しているメールやSNS、ネットショッピングなどのアカウントについて、パスワードの安全性や使い回しの有無を見直してみましょう。
<参考サイト>
独立行政法人情報処理推進機構(IPA) / Google アカウント ヘルプ / Google Chrome ヘルプ / Apple サポート / Have I Been Pwned / Mozilla サポート / 米国国立標準技術研究所(NIST)
